研究内容

臨床研究

全身麻酔時に使用するレミマゾラムの鎮静深度の検討:Pilot study

はじめに

レミマゾラムは世界に先駆けて本邦で最初に臨床使用されるベンゾジアゼピン系の超短時間作用型鎮静薬である。全身麻酔時に使用するプロポフォールと類似する使用方法が期待される。しかしながら、プロポフォールは鎮静の指標としてBIS(bispectral index)モニターが使用され、BIS値が40-60の間では適切な鎮静深度を有し、臨床応用されている。鎮静薬である吸入麻酔薬もMAC-awakeなどの指標がある。一方、レミマゾラムは現時点で適切な鎮静深度の指標がなく、血圧や脈拍、体温などから総合して判断するしかない。
瞳孔反応は麻酔深度を推測しうるバイタルサインの一つでもある。最近、瞳孔反射を数値化し客観化するポータブル赤外線瞳孔計(NeurOptics 社製 NPi-100瞳孔計)が開発され、救急外来、ICU、手術室において使用されており、この瞳孔計は瞳孔サイズ、縮瞳速度、散大速度等の測定が可能であり、神経学的瞳孔指数を計算することができる。本研究では、このポータブル赤外線瞳孔計とBISモニターを用いて、レミマゾラムを用いた全身麻酔時に瞳孔計指数、BIS値を調査し、レミマゾラムの麻酔深度の客観的評価を検討する。

対象

適格基準:
(1) 承認日から2022年3月31日までに九州大学病院で全身麻酔下に乳腺外科の手術を行われる患者。(吸入麻酔は術後吐き気を催す確率を高めるため、乳腺、婦人科の手術では静脈麻酔が好まれ、比較的レミマゾラムの使用頻度が高いため。)
除外基準:
(1)研究者が研究対象者として適切でないと判断した患者
(未成年、データ不十分)
中止基準:
(1)研究への参加を希望しない旨の申し出があった場合

研究デザイン

(1)本研究の対象者へ個別に同意を取得して研究を行う。
(2)該当する患者を対象者として登録し、下記の情報を診療録から取得する。
  〔取得する情報〕
 年齢、性別、身長、体重
麻酔記録より(BIS値、EEGデータ、瞳孔反応, 麻酔薬投与量、麻酔時間、術式)
(3)以上により得られたデータを用い、乳腺外科の全身麻酔時に鎮静薬としてレミマゾラムを使用する際、術中のBIS値と瞳孔反応、EEG波形を計測。プロポフォールの鎮静度として確立しているBIS値と比較検討することにより、レミマゾラムの指摘BIS値を検証する。
 

評価項目

Primary:術中のBIS値と瞳孔反応値の関係

Secondary: 術中のEEGモニター値と瞳孔反応値の関係

個人情報の管理について

共同研究施設等と試料・情報の授受を行う場合は、申請時に研究計画書へ内容を記入する。また、1年間の試料・情報の授受の状況について、研究実施状況報告書へ必要事項を記入し、研究機関の長へ報告する。研究計画書と研究実施状況報告書(同意を取得する研究においては同意文書)を以て試料・情報の提供に関する記録とする。各種書類は研究責任者及び担当者が作成し、電子媒体及び文書にて、分野等の研究室において研究終了後10年間保管する。

研究期間

研究許可日~令和4年3月31日

研究機関

九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野
九州大学病院麻酔科蘇生科

連絡先

担当者:九州大学病院麻酔科蘇生科 講師 白水和宏 
連絡先:〔TEL〕092-642-5714(内線5714)
    〔FAX〕092-642-5722
メールアドレス:shiron@kuaccm.med.kyushu-u.ac.jp

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