研究内容

臨床研究

レミマゾラム併用全身麻酔後にフルマゼニルによる拮抗が必要となる因子の検討

観察研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院九州大学病院麻酔科蘇生科では、現在全身麻酔下に乳腺外科手術を受けられた患者さんを対象として、術後の麻酔薬の拮抗薬に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2022年3月31日までです。

研究の目的や意義について

全身麻酔時には鎮静薬が必要ですが、現在、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬などが鎮静薬として使用されています。その静脈麻酔薬にはプロポフォールやレミマゾラム、ミダゾラムなどが含まれますが、レミマゾラムは、短時間作用型の新たな鎮静剤として近年注目されています。世界に先がけて日本で使用開始されましたが、2020年の9月からであり、臨床での使用経験が浅く、現時点で全身麻酔下でのレミマゾラムの臨床研究はほとんど報告されていません。レミマゾラムは古くから臨床で使用されているベンゾジアゼピン系の薬剤です。レミマゾラムは従来のベンゾジアゼピン系の薬剤と同様に、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフルマゼニルにより、レミマゾラムの鎮静効果を速やかに消失させることが報告されています。また、フルマゼニルは副作用の発生率が低いとの報告もあります。そのために、麻酔からの覚醒の遅延を防ぐ目的や、手術室運営の効率化、患者の安全のために広く使用されています。しかしながら、フルマゼニルの使用により痙攣が発生したという報告もあり、積極的な投与に関して消極的な意見もあます。前述のようにレミマゾラムは比較的新しい薬剤で、使用する麻酔科医が使い慣れていないことから、防ぐことができる覚醒遅延を生じさせている可能性もあります。そこで、手術後のフルマゼニル投与の症例を分析し、なぜフルマゼニル投与が必要になったのか、その因子を検討することにより、術中のレミマゾラム投与の調整、管理に反映できると考えます。結果的に、患者の麻酔管理の安全に直結すると考えます。

研究の対象者について

九州大学病院麻酔科蘇生科において2020年9月1日から2021年7月31日までにレミマゾラム併用全身麻酔下に乳腺外科手術を行われた患者のうち、40名を対象にします。
 
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 

研究の方法について 

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。

 〔取得する情報〕
年齢、性別、身長、体重、内服薬、既往歴
麻酔記録より(レミマゾラム投与終了から抜管までの時間, 麻酔薬投与量、手術・麻酔時間、
手術時間、フルマゼニル投与の有無)
・麻酔記録と電子カルテより乳腺外科手術でレミマゾラム併用全身麻酔を受けられた患者のデータを取り出し、術後レミマゾラムの拮抗薬であるフルマゼニルを必要とした症例と投与されていない症例を検討することにより、覚醒遅延に関連する因子を特定し、検討します。

個人情報の管理について

あなたの麻酔情報、カルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院麻酔蘇生学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院麻酔蘇生学分野・教授・山浦健の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

試料や情報の保管等について

この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院麻酔蘇生学分野において同分野教授・山浦健の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

研究に関する情報について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は企業や財団からの寄付であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。

利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究の実施体制について

研究実施場所 九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野
九州大学病院麻酔科蘇生科
研究責任者 九州大学病院 麻酔科蘇生科 講師  白水和宏
研究分担者 九州大学病院 麻酔科蘇生科 医員  髙森信乃介

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口) 担当者:九州大学病院麻酔科蘇生科 講師  白水和宏
連絡先:〔TEL〕092-642-5714(内線5714)
    〔FAX〕092-642-5722
メールアドレス:ijkseimsei@jimu.kyushu-u.ac.jp

BACK
研究内容
基礎研究
臨床研究
業績
共同研究