研究内容

臨床研究

頭部・顔面領域疼痛に対する超音波ガイド下上頸神経節ブロックの有用性についての後方視的検討

観察研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院麻酔科蘇生科では、現在、頭部・顔面領域の痛みのある患者さんを対象として、星状神経節ブロックに関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2026年3月31日までです。

研究の目的や意義について

頭部・顔面領域の痛みの治療として、薬物療法の他に星状神経節ブロック(神経ブロック療法の一つ)という選択肢があります。星状神経節ブロックは過剰に興奮した交感神経を抑制する働きがあり、これにより鎮痛効果や血流改善効果が得られます。
星状神経節ブロックは超音波を見ながら頸の前方より注射を行うことが一般的です。この方法でも安全に施行することができますが、近くに甲状腺の血管があるため稀に出血することがあります。頭部により近い部位で、超音波画像を見ながら頸の側方より注射を行う方法でも、前方から施行する方法と同様の効果が得られると考えられます。その部位では周囲に甲状腺などの組織がないため出血の可能性が低いと考えられます。
そこで、今回麻酔科蘇生科では、頭部・顔面領域の痛みの治療に用いる星状神経節ブロックの穿刺方法の違いによる有効性と安全性を解明することを目的として、本研究を計画しました。本研究を行うことで、より多くの患者さんに安全で効果のある頭部・顔面領域の痛みの治療法を提案できると考えています。

研究の対象者について

九州大学病院麻酔科蘇生科において2018年1月1日から、2022年5月31日までに頭部・顔面領域の疼痛の診断で星状神経節ブロック受けた方を対象にします。研究対象者は30名ほどを予定しています。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、2023年3月31日までに事務局までご連絡頂いた場合研究対象者から除外されます。2023年3月31日以降にご連絡頂いた場合、すでに論文等で研究発表されている際は研究対象者から完全に除外することができない可能性があります。

研究の方法について

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。また、保管されているアイパッドによるアンケート調査の結果を使用します。測定結果と取得した情報の関係性を分析し、頭部・顔面部領域の疼痛の異なる2種類の穿刺方法による星状神経節ブロックに対する影響を明らかにします。

 〔取得する情報〕
年齢、性別、身長、体重 PS値、疾患名、手技記録情報、以下1−5の情報
1.疼痛の主観的評価
数値評価スケール(NRS)、pain DETECT
2.身体機能評価
疼痛生活障害評価尺度(PDAS)
3.血流評価
サーモグラフィー検査
4.心理評価
痛みの破局化:pain catastrophizing scale (PCS)
不安・抑うつ尺度:hospital anxiety and depression score (HADS)
5.包括評価 QOL 評価
健康関連QOL:EQ−5D

個人情報の取扱いについて

研究対象者のアイパッドやカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野・教授・山浦健の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

試料や情報の保管等について

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野において同分野教授・山浦健の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する経費は不要であるが、研究遂行にあたって必要な場合は部局等運営経費を財源とします。また、利益相反はありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究に関する情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制・相談窓口について

この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院麻酔科・蘇生科
九州大学大学院医学研究院 外科学講座麻酔・蘇生学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院外科学講座麻酔・蘇生学分野 教授 山浦健
研究分担者 九州大学病院麻酔科蘇生科・助教 前田愛子

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口) 担当者:九州大学病院麻酔科蘇生科 助教 前田愛子
連絡先:〔TEL〕092-642-5714(内線)
    〔FAX〕092-642-5722
メールアドレス:maeda.aiko.461@m.kyushu-u.ac.jp

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