研究内容

臨床研究

血漿交換の違いによる血球成分の変化の検討

はじめに

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院麻酔科蘇生科では、現在ABO血液型不適合腎移植レシピエントの患者さんを対象として、血漿交換の違いによる血球成分の変化の検討に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2025年3月31日までです。

対象

九州大学病院麻酔科蘇生科において2015年1月1日から2022年10月24日までにABO血液型不適合腎移植レシピエントとして術前に血漿交換を受けた患者のうち、PE施行時における年齢が満20歳以上の患者130名を対象にします。

研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究デザイン

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。測定結果と取得した情報の関係性を分析し、膜型と遠心型による血漿交換の方法の違いが血球成分へ与える影響を明らかにします。
 
 〔取得する情報〕

  • 研究対象者背景
年齢、性別、身長、体重、現病歴、既往歴、定期内服薬、術式、血液検査(凝固因子、Hb、血小板)、貯血量、血漿交換の方法、回数、時間
  • 手術当日
血液検査(凝固因子、Hb、血小板)、手術時間、麻酔時間、出血量、尿量、輸液量、輸血量、血圧
 

研究内容

血漿交換(plasma exchange: PE)による抗体除去治療、免疫抑制剤使用によりABO血液型不適合腎移植が広く行われるようになっています。PEは血中の血液型に関する抗体成分を取り除く治療です。これは、大きく膜型と遠心型血液成分分離装置に分類され、それぞれ利点・不利点が存在することが知られています。近年、血液透析導入前の移植の増加に伴い、透析シャント未形成の腎移植レシピエントへの術前PEを行う機会が増加しています。
血漿交換療法は保険診療の点などから膜型で行われることが多く、遠心型で行われることが少ないのが特徴です。しかしながら、血流量を保つため、透析シャント未形成の患者に膜型を使用するためには透析カテーテルを挿入する必要があります。当院では透析シャント未形成の患者に対し、末梢静脈から行える遠心型血漿交換法を採用しています。PEは抗体を除去する過程で、血球成分に影響を与えることが報告されています。過去の研究において、異なる膜型間での血球成分に与える検討報告は散見されますが、膜型と遠心型とを比較した検討は少ないです。今回、PEの方法の違いが血球成分に与える影響を検討し、透析シャント未形成腎移植レシピエントへの遠心型血漿交換法の血球成分への影響を検討することを目的として本研究を計画しました。今回麻酔科蘇生科では、遠心型血漿交換法の安全性を検討する検討することを目的とし、本研究の結果が、PEの方法の選択基準の一助になることが予想されます。

個人情報の管理について

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野・教授・山浦 健の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

試料や情報の保管等について

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野において同分野教授・山浦 健の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は講座寄附金であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究機関

この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院麻酔科蘇生科
九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野
研究責任者 九州大学病院麻酔科蘇生科 講師 白水和宏
研究分担者 九州大学病院麻酔科蘇生科・医員 大屋皆既
九州大学病院麻酔科蘇生科・医員 髙森信乃助

連絡先

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

事務局
(相談窓口) 担当者:九州大学病院麻酔科蘇生科 講師 白水和宏
連絡先:〔TEL〕092-642-5714(内線5714)
    〔FAX〕092-642-5722
メールアドレス:ijkseimsei@jimu.kyushu-u.ac.jp

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