研究内容

臨床研究

手術予定患者における高血圧の実態の検討

はじめに

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院麻酔科蘇生科では、現在手術予定患者さんを対象として、手術予定患者さんにおける高血圧の実態調査の「観察研究」を行っています。高血圧は加齢に伴い増加し、腎障害、脳血管障害、心不全のリスクとなるため注意が必要な疾患です。手術を受ける患者さんは高齢者が多く、その実態について把握することは周術期管理の上では重要となります。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2025年3月31日までです。

対象

九州大学病院麻酔科蘇生科において2014年4月1日から2022年3月31日までに術前外来を受診された方のうち、年齢が満15歳以上の患者40,000名を対象にします。

研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究デザイン

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。測定結果と取得した情報の関係性を分析し、術前外来を受診した患者を対象とし、年齢別の高血圧の割合、その中でもコントロール良好、不良の割合を検討します。
 
〔取得する情報〕

  • 研究対象者背景
年齢、性別、身長、体重、現病歴、既往歴、定期内服薬、血圧、術式、血液検査(クレアチニン)
  • 手術情報
手術時間、麻酔時間、出血量、尿量、輸液量、輸血量、平均血圧、昇圧薬投与量
 
 

研究内容

高血圧は加齢に伴い増加し、腎障害、脳血管障害、心不全のリスクとなるため注意が必要な疾患です。さらに、高血圧は全身麻酔中の循環管理に影響を及ぼす重要な因子の一つとして知られています。高血圧患者では周術期に循環血行動態が変動する危険性が高く、その結果として、周術期の心臓有害事象、術後の腎機能障害、術後の神経障害を併発する可能性があると報告されています。また、術中および術後早期の血圧を術前の変動範囲内で管理することにより、周術期の脳梗塞の併発や死亡のリスクを低減することができるとの報告もあります。
高血圧の有病率は加齢に伴って増加し、手術を受ける患者は年々高齢化しています。本研究は、年齢別の高血圧の割合と高血圧患者の血圧コントロール状況を明らかにすることを目的として計画しました。10歳毎に年齢を区切り、比較するために、研究対象は15歳以上としています。コントロール良好は診察した麻酔科医が推奨される血圧にコントロールされていると判断した場合、コントロール不良はそれ以外と定義しました。
その結果と考察から、近年の手術症例における高血圧の実態を把握することで、全身麻酔中の循環管理を最適化し、患者管理の安全性の向上を目指します。

個人情報の管理について

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野・教授・山浦 健の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野において同分野教授・山浦 健の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。

本研究に関する必要な経費は部局等運営経費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。

利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究機関


研究実施場所 九州大学病院麻酔科蘇生科
九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野
研究責任者 九州大学病院麻酔科蘇生科 講師 白水和宏
研究分担者 九州大学大学院医学研究院 麻酔・蘇生学 准教授 東 みどり子
九州大学病院麻酔科蘇生科・医員 徳永真柚

連絡先

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

事務局
(相談窓口) 担当者:九州大学病院麻酔科蘇生科 講師 白水和宏
連絡先:
〔TEL〕092-642-5714(内線5714)
〔FAX〕092-642-5722
メールアドレス:ijkseimsei@jimu.kyushu-u.ac.jp

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