研究内容

臨床研究

肥満がレミマゾラムによる全静脈麻酔からの麻酔導入・覚醒に与える影響

1.観察研究について

 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院麻酔科蘇生科では、現在、レミマゾラムを使用して全静脈麻酔を行なった患者さんを対象として、肥満がレミマゾラムによる全静脈麻酔からの麻酔導入・覚醒に与える影響に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年12月31日までです。

2.研究の目的や意義について

 麻酔薬レミマゾラムは短時間作用型のベンゾジアゼピン系薬物であり、循環抑制作用が少ないことに加え、肝臓での薬物代謝にCYPを介さないため薬物相互作用が少なく、また代謝産物も薬理活性が低いと言われています。また拮抗薬であるフルマゼニルも臨床使用可能であり、近年使用頻度が増えています。
 肥満患者において、麻酔薬の脂肪組織への薬物蓄積により麻酔からの覚醒遅延が報告され、特に脂溶性の高い薬剤においてその傾向は強くなります。レミマゾラムにおいても肥満は覚醒遅延のリスク因子となる可能性は報告されていますが、肥満患者と非肥満患者において麻酔覚醒までにどのような影響があるかを比較した報告は少ないです。本研究ではレミマゾラムを使用した全静脈麻酔患者において、BMI35以上の肥満患者と35未満の患者で麻酔導入・覚醒時間を比較し、肥満が与える影響を検討します。

3.研究の対象者について

 2023 年 4 月1日から 2023 年 8 月 31 日までの期間に九州大学病院手術室でレミマゾラムを使用して全 静脈麻酔を行なった患者20症例を対象としております。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

4.研究の方法について

 この研究を行う際は、診療録より以下の情報を取得します。取得した情報の関係性を分析し、BMI35 以上の肥満患者群と 35 未満の患者群で比較し、レミマゾラムを用いた全静脈麻酔からの麻酔導入・ 覚醒時間を比較し、肥満が与える影響を検討すします。
〔取得する情報〕 年齢、性別、身長、体重、BMI、原疾患、術式、術前の検査結果、麻酔経過、術後経過を診療録より、 また手術室内の生体モニタリングデータ(心拍数、血圧、酸素飽和度、体温)、検査結果、薬剤・輸血・ 輸液投与量

5.研究への参加を希望されない場合

 この研究への参加を希望されない方は、下記の相談窓口にご連絡ください。
 なお、研究への参加を撤回されても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。
 その場合は、収集された情報は廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的で用いられることはありません。ただし、参加時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄で きないことがあります。

6.個人情報の取扱いについて

 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番
号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを
設定し、九州大学病院麻酔科蘇生科のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソ
コンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることは
できません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が
特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院 医学研究院 外科学講座 麻酔・蘇生学分野・教授・ 山浦 健の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連
絡ください。

7.試料や情報の保管等について

 この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野において同分野教授・山浦 健の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

8.利益相反について

 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営経費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

9.研究に関する情報の開示および研究を中止する場合について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。
 また、この研究に関する情報や研究成果等は、以下のホームページで公開します。
 九州大学麻酔科蘇生科ホームページ:https://www.kuaccm.med.kyushu-u.ac.jp
 また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。

 研究責任者の判断により、研究を中止しなければならない何らかの事情が発生した場合には、この研究を中止する場合があります。なお、研究中止後もこの研究に関するお問い合わせ等には誠意をもって対応します。

10.相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

事務局
(相談窓口) 担当者:九州大学病院  麻酔科蘇生科  診療講師  﨑村正太郎
連絡先:〔TEL〕092-642-5714(内線2403)
    〔FAX〕092-642-5715
     メールアドレス:masuika@med.kyushu-u.ac.jp

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