研究内容

臨床研究

術後中枢温度が高温にも関わらずシバリングを起こす因子の検討

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院麻酔科蘇生科では、現在子宮がん、子宮頸がんおよび膵がんの根治手術を受けられた患者さんを対象として、手術後のシバリングに影響を与える因子を検討する「観察研究」を行っています。 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2025年3月31日までです

研究の目的や意義について

手術後に体温が低い場合、体は体温を上げるために震えを起こして熱を産生します。これをシバリングといいます。シバリングは患者さんが不快な思いをする他に、酸素消費量が増加するために心血管系へ負担がかかることが知られています。そのため、高齢者や心血管のリスクがある患者さんでは防がなければならない麻酔合併症の一つです。そのために術中の体温保護は麻酔管理の中でも重要であり、体温降下を防ぐ手法などが多く研究、発表されています。手術中は中枢温度を上昇させ、温風式加温装置などで保温・加温する必要があります。一方でこのシバリングの発生は中枢温度を保持する以外に、影響を及ぼす因子の報告もあります。この研究は、その要因を検討することで、シバリング予防に役立てるものであります。

研究デザイン

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。測定結果と取得した情報の関係性を分析し、子宮がん、子宮頸がんおよび膵がんの根治手術後のシバリングに影響を与える因子を明らかにします。
 
 〔取得する情報〕※研究計画書に記載の項目と統一すること
情報:

  • 研究対象者背景
年齢、性別、身長、体重
  • 手術情報
体温、シバリング発生の有無、手術時間、麻酔時間、出血量、尿量、輸液量、輸血量、麻酔方法、アセリオ・ロピオン投与の有無、麻薬血中濃度
 

 

研究の対象者について

九州大学病院麻酔科蘇生科において2013年1月1日から2023年12月31日までに子宮がん、子宮頸がんおよび膵がんの根治手術を受けられた方のうち、手術施行時における年齢が満18歳以上の患者1000名を対象にします。

研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

個人情報の管理について

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野・教授・山浦 健の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究への参加を希望されない場合

この研究への参加を希望されない方は、下記の相談窓口にご連絡ください。
なお、研究への参加を撤回されても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。
その場合は、収集された情報は廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的で用いられることはありません。ただし、参加時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄できないことがあります。

試料や情報の保管等について 

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学分野において同分野教授・山浦 健の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は部局等運営経費(論文投稿料に関するもの)であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究に関する情報の公開について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

 また、この研究に関する情報や研究成果等は、以下のホームページで公開します。
 九州大学麻酔科蘇生科ホームページ:ホームページアドレス 
https://www.kuaccm.med.kyushu-u.ac.jp

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口) 担当者:九州大学病院手術部 准教授 白水和宏
連絡先:〔TEL〕092-642-5714(内線5714)
    〔FAX〕092-642-5722
メールアドレス:ijkseimsei@jimu.kyushu-u.ac.jp

【留意事項】
本研究は九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会において審査・承認後、以下の研究機関の長の許可のもと、実施するものです。
九州大学病院長 中村 雅史

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